
地方の「稼ぐ力」をどう取り戻すか。
これは、日本全国の自治体・中小事業者・NPO が、ここ 10 年ずっと問い続けてきた問いだ。
HAPILY が掲げる答えのひとつが、「関係人口を世界に広げる越境 EC」 という構想であり、その具体形が 「SHIKITABI(しきたび)」である。本記事では、SHIKITABI の事業構造・関係人口創出ロジック・運営現場のリアルを公開する。
はじめに:地方創生の「3 つの限界」
SHIKITABI の話に入る前に、なぜ既存の地方創生アプローチが 限界に達しているか を整理しておきたい。
限界 1: 観光客は「来て、消費して、帰る」
インバウンド観光は、コロナ前後で大きく回復した。だが 「一過性の来訪」 である。1 回の旅行で 5 〜 10 万円の経済効果を生むが、その後の継続的な関係は薄い。
地元事業者にとって、観光客は 「波」のような存在で、ピークの 3 ヶ月で稼ぎ、残りの 9 ヶ月は耐える、という構造を強いる。
限界 2: ふるさと納税は「税還元の金融商品」化
ふるさと納税は税制優遇によって流通している側面が大きく、「返礼品の還元率競争」 が地方の利益率を圧迫している。
納税者の多くは 「税金がお得に戻ってくる」 感覚で寄付しており、地域への思い入れは限定的。
限界 3: 移住者誘致は「再現性が低い」
移住者を呼び込むには、住居、雇用、教育、医療、コミュニティ、これら全てが揃わないと定着しない。
成功している地域もあるが、全国で再現するのは難しい。
SHIKITABI は、これら 3 つの限界に対する 「第 4 の道」 として構想された。
SHIKITABI とは何か — 「日本を旅する気分のサブスク」
SHIKITABI(しきたび)は、HAPILY × 株式会社 EBISU が共創する越境 EC 事業。
月額のサブスクリプションで、世界中の家庭に 日本各地のおやつ + 文化背景の読み物 + 動画ガイド をセットで届ける。
商品設計の 3 原則
- 商品単位ではなく「体験単位」: たとえば「九州 山の幸 編」では、福岡の柚子菓子・佐賀の小城羊羹・熊本のいきなり団子をセットで届け、各産地のストーリー(生産者の声、地形、気候、歴史)を冊子と動画で添える。
- 毎月変わる「テーマ」: 春は桜餅と山菜、夏は氷菓と冷茶、秋は栗と芋、冬は柚子と餅、という季節感を提供。「日本のリズム」を世界に毎月届ける。
- 地域生産者の「顔」が見える: 各セットの裏面には生産者の名前・写真・小さなインタビュー記事 QR コード。商品ではなく「人」に紐づいたファンを作る。
これは何の事業か
表面的には「サブスク EC」だが、本質は次の 3 つを同時に動かす 関係人口創出インフラだ。
- 地方産品の継続販路 — 海外への安定的な出荷チャネル
- 生産者の海外ファン創出 — 「特定の生産者」を応援したくなる仕掛け
- 地域訪問への動線 — 「いつかこの産地を訪れたい」海外ファンを 1〜3 年で実訪日に変換
関係人口を「世界」に広げるロジック
地方創生における 関係人口 という概念は、総務省が定義したように 「定住人口ではないが、地域と継続的に関わる人々」 のこと。
これまでは 「日本国内」 を前提にしていたが、SHIKITABI は 「世界全体」 に拡張する。
第 1 段階: 認知 → 試食
海外の SNS インフルエンサーや、和食文化に関心がある層に、初回 30% オフのお試しボックスを届ける。
「日本」ではなく 「特定の地域・特定の生産者」 を主役にしたコンテンツを毎月 SNS でも配信。
第 2 段階: 試食 → 継続契約
継続契約者には、月に 1 〜 2 回 「生産者からのビデオレター」 がメールで届く。
「今月、御社の家族に届けた羊羹は、こんな気持ちで作りました」というメッセージ。
これによって、商品が 「ただのお菓子」から「人とのつながり」 に変わる。
第 3 段階: 継続契約 → 訪日リアル
契約 1 年以上の顧客には、「産地訪問ツアー」 の優先案内が届く。
すでに「顔の見える関係」があるので、訪日のハードルが極めて低い。
HAPILY のシミュレーションでは、1 年以上の顧客の 20% が 3 年以内に訪日する という推計値が出ている。
第 4 段階: 訪日リアル → 地域内消費の拡大
実際に訪日した顧客は、1 回の旅行で 30 〜 50 万円を地域に落とす。SHIKITABI の継続契約による LTV と組み合わせると、海外 1 人あたりの地域経済効果は 累計 100 万円超 になる試算。
これが、SHIKITABI が描く 「関係人口を世界規模で創る経済モデル」 である。
HAPILY × EBISU 共創の現場 — 何を一緒にやっているか
SHIKITABI は HAPILY 単独事業ではなく、株式会社 EBISU との共創。役割分担を明確に説明したい。
EBISU の役割: 地域・生産者ネットワーク
EBISU は、長年に渡って日本各地の食文化・観光資源・生産者と関係を築いてきた。
SHIKITABI における EBISU の貢献は 「どの地域の、どの生産者と組むか」のキュレーション。
生産者との交渉、品質管理、ストーリー取材、地域行政との連携は EBISU が担当する。
HAPILY の役割: IT × オペレーション × グロース
HAPILY は、SHIKITABI の事業基盤を IT で組み上げる。具体的には:
- 越境 EC プラットフォーム構築: Shopify Markets を基盤に、多通貨・多言語対応
- サブスク管理: 定期購入・カスタマイズ・解約フローを統合
- 物流・通関の自動化: 国際配送のラベル印刷、関税申告、トラッキング
- マルチチャネル配信: Instagram / YouTube / TikTok / Pinterest を多言語運用
- 顧客 LTV モニタリング: 月次の継続率、解約理由分析、生産者別売上分析
- AI 住民活用: 海外顧客対応の多言語チャット、商品ストーリーの多言語化
つまり、EBISU が「想い」と「人」と「もの」を集め、HAPILY が「仕組み」と「データ」と「世界への配信」 を担当する、という相互補完。
運営現場のリアル — うまくいったこと、苦しかったこと
事業立ち上げの実体験を、隠さずに公開する。
うまくいったこと 1: 「人」に紐づくストーリーは強い
商品の裏面に生産者の顔写真を載せ、QR コードでビデオレターを再生できるようにしたところ、解約率が想定の 60% 減。
「もう買わなくていいや」と思った瞬間にも、「あの○○さんに悪い」と思って継続するケースが多発した。
関係性は、商品よりも強い。
うまくいったこと 2: 「日本」を語らず「地域」を語る
最初は「日本のお菓子セット」と打ち出していたが、海外の反応は鈍かった。
「九州 山の幸 編」「東北 雪国の食卓 編」と 地域名で語る に変えたら、Instagram のエンゲージメントが 3 倍に。
海外の消費者は「日本」より 「具体的な地域・人・物語」 に反応する。
苦しかったこと 1: 通関と物流コスト
越境 EC の最大の壁は 「通関と国際配送コスト」。商品 5,000 円に対して、配送 + 関税で 3,000 円かかる、という時期もあった。
HAPILY 側で DDP(関税込み配送)の事前計算ロジックと 地域別の輸送会社比較を組んで、コストを 30% 削減。
苦しかったこと 2: 「日本のお菓子なら何でも売れる」幻想
当初、海外向けに人気そうな「抹茶」「桜」「柚子」を中心に組んだが、これは「日本ぽい」だけで 個性が薄い。
むしろ、海外で全く知られていない 「いきなり団子」「ずんだ餅」「酒粕クッキー」のような 地域固有のお菓子の方が、ストーリー込みでファン化しやすかった。
地方創生支援事業として、HAPILY が他地域で展開できること
SHIKITABI で得た知見は、すでに HAPILY の地方創生支援メニュー としてパッケージ化されている。
- 地域物産の越境 EC 立ち上げ支援: Shopify Markets 構築 + 物流設計 + ストーリー取材
- 関係人口創出のための SNS 戦略: 地域名・生産者名で語るコンテンツ設計
- 商店街単位のフランチャイズ展開: 紬屋青果店モデル(昭和レトロ × 令和ハイブリッド)と組み合わせた商店街復興
- 自治体・観光協会向け関係人口データ分析: 訪日見込み・継続契約率・地域内消費の連動シミュレーション
地方の事業者・自治体の方で「SHIKITABI のような関係人口モデルを、自分たちの地域でも作れないか」と感じたら、30 分の無料相談 から始めてほしい。地域の食材・生産者・物語の棚卸しを一緒に行う。
「あなたの地域」に当てはめる 3 つの問い
- 「観光客が来た時だけ」の経済から脱却できているか。 1 年中、地域外と関係を持ち続ける仕組みがあるか。
- あなたの地域に、海外で語れる「物語のある生産者」が何人いるか。 1 人いれば、SHIKITABI モデルは始められる。
- 「ふるさと納税の還元率競争」に消耗していないか。 関係人口を「税還元」ではなく「物語」で繋ぐ時代に来ている。
次の一歩
SHIKITABI の事業構造を あなたの地域に当てはめる 検討を始めたいなら、HAPILY の地方創生支援チームに 30 分のオンライン相談をお申し込みください。
HAPILY からの売り込みは一切しません。地域の現状と「何を世界に届けたいか」を一緒に整理します。